ブエノスアイレスの感想「レスリーの圧倒的な孤独」

ブエノスアイレスは大人気スターのレスリー・チャンとトニー・レオンがゲイのカップルを演じたことで、本国でもかなり話題になったようです。しかも冒頭から物凄く激しいセックスシーンがありますので、度肝を抜かれた方も多いでしょう。まー、濃厚な描写は最初だけです。あとは男同士のドロドロが続き、後半は諸々の事情からレスリーがあまり出てこなくなります。

この映画は登場人物が3人のみなので、誰が誰だか分からないということはありません。人物描写の点だけは非常にわかりやすい。しかーし、ストーリーはだいぶわかりません。私は2回見て、やっとレスリーの孤独に号泣しました。というのも、途中からレスリーなのかウィン(役名)なのか分からなくなったから。

最後のシーンで、ファイ(トニー・レオン)のいない部屋で毛布を抱きかかえてむせび泣くウィンはウィンだけど、レスリー本人なんじゃないかと感じてきたのです。ブエノスアイレスは1997年の映画なので、2003年に自死したレスリー(享年46歳)は当時40歳。

40歳といえばもうそこそこくたびれてるおっさんですよ。それがこの「ブエノスアイレス」では男たちを狂わす小悪魔を演じている、というよりもなりきっているのか、それともレスリー自身なのか……。ファイを散々振り回して苦しませて、結局捨てられるウィン。2人がキッチンで踊るタンゴのシーンは美しくて儚くて、とても幸せそう。

ファイは何度もウィンに「やり直そう」といわれて元サヤに収まってきましたが、ブエノスアイレスに来てチャン(チャン・チェン)という青年と出会うことで変わっていきます。しかしチャンもお金が貯まったら旅立つ旅行者です。どこへ行くんだと聞いたとき、チャンは「世界の果てを見たい」と答えます。そこには悩みを捨てられる灯台があるんだと。

悩みを捨ててくるから吹き込んでと、カセットテープを渡されるファイ。でもファイは涙を流して何もいえません。ファイはチャンとの別れが辛かったのか、ウィンを想って泣いていたのか……。

ウィンを独占したくてパスポートを隠したり、外へ行かせないためにタバコを買い込んだり。しかし、ウィンは小悪魔です。愛人に怪我をさせられてファイのアパートにやってきましたが、傷が治るとまたフラフラと彷徨います。ファイが「ウィンの傷が治らないように祈っている」と、心底想っている気持ちが苦しいね。

後半はウィンもチャンもいない状態で、ファイの刹那的な時間が過ぎていきます。そしてファイは香港へ帰ることに。帰る前に一緒に見ようといっていた「イグアスの滝」を1人で見て、ウィンがいないことを寂しがり帰国。香港に帰る前に台北のチャンの家族がやっている夜店に向かいます。そこでチャンの写真を一枚盗んで、「会いたいと思えばいつでも会える」とファイは感じるのでした。

2回観てもよく分からなくて混乱しましたが、本当にレスリーがお美しくてお美しくて……。レスリーを見ているだけで切なくなってくる、そんな映画です。ちなみに途中からレスリーが出てこなくなった理由は、撮影が遅れたりレスリーが忙しかったりしたから途中で香港にレスリーが帰っちゃったんだって。急遽チャン・チェン加えて新しいストーリーになったとか。だから意味がよく分からないんだな、でも美しいんだな。

※画像(youtubeより)

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